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赤ちゃんが後追いしない5つの原因と親ができること

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「うちの子、全然後追いしないけど大丈夫?」――そんな不安を抱えているママやパパは少なくありません。赤ちゃんの後追いはよく知られた発達サインですが、全員が必ず経験するわけではありません。この記事では、後追いをしない理由、心配すべき場合の見極め方、そして後追いがないときの安心できる接し方を、実例や専門的な視点を交えて解説します。

赤ちゃんが後追いをする理由としない場合の違い

後追いが始まる時期と一般的な発達の流れ

赤ちゃんの「後追い」は、多くの場合、生後6〜9か月頃に始まります。この時期は「人見知り」と同じように、赤ちゃんの脳や心の発達が大きく進むタイミングです。それまでの赤ちゃんは、ママやパパが部屋から出ても、「いなくなった=永遠にいない」とは思わず、すぐに忘れてしまうことが多いのですが、脳の発達により「物の永続性」という概念が芽生え、「見えなくても存在している」と理解できるようになります。これが、ママがいなくなると不安になり、泣いたり後を追ったりする理由です。

しかし、全ての赤ちゃんが同じ時期に後追いを始めるわけではありません。例えば、ある赤ちゃんは7か月頃からハイハイで必死にママを追いかける一方で、別の赤ちゃんは1歳を過ぎても特に追いかける様子を見せないこともあります。この違いは、性格や気質、生活環境によって大きく左右されます。また、兄弟姉妹がいて常に人の気配を感じられる環境では、ママがいなくても不安が少なく、後追い行動が目立たない場合もあります。

さらに、後追いの始まりは発達の「目安」ではあっても、「絶対条件」ではありません。歩き始める時期に個人差があるように、後追いの有無や時期も個性のひとつと考えることが大切です。世界的にも、欧米では後追いの時期が遅い、あるいはほとんど見られない子も珍しくなく、文化や育児スタイルによる違いも影響しているといわれています。

つまり、後追いは赤ちゃんの発達段階の一つですが、しないからといって必ずしも心配する必要はありません。重要なのは、赤ちゃんが笑顔を見せたり、アイコンタクトを取ったり、声や音に反応するなど、他の発達サインが順調に見られるかどうかです。

後追いが始まる時期と一般的な発達の流れ

赤ちゃんの「後追い」は、多くの場合、生後6〜9か月頃から始まります。この頃、赤ちゃんは「物の永続性」という概念を理解し始めます。つまり、見えなくなってもママやパパが存在しているとわかるようになるのです。それまでの赤ちゃんは、ママが部屋を出てもすぐに忘れてしまい、不安にならないことが多いですが、この認識の変化によって「ママがいない=不安」という気持ちが芽生えます。その結果、泣きながら後を追いかけたり、姿が見えるまで動けなくなったりします。

しかし、全ての赤ちゃんが同じ時期に後追いを始めるわけではありません。例えば、Aちゃんは7か月でハイハイしながら必死にママを追うのに、Bくんは1歳を過ぎても平然としている場合があります。この違いは、気質、生活環境、家族構成によって左右されます。常に誰かがそばにいる環境や、保育園で多くの大人や子どもに囲まれて育っている赤ちゃんは、ママがいなくても安心感を保ちやすく、後追いが目立たないこともあります。

また、後追いの時期は発達の「目安」ではありますが「必須条件」ではありません。歩く時期や言葉を話す時期に個人差があるのと同じで、後追いもその子のペースがあります。さらに、国や文化の違いも影響します。海外では赤ちゃんの生活空間と親の生活空間が分かれている家庭も多く、後追い行動があまり見られないこともあります。

結論として、後追いは赤ちゃんの成長の一過程ですが、しないからといって直ちに心配する必要はありません。重要なのは、笑顔や声の反応、視線のやりとり、遊びへの興味など、他の発達サインが順調に見られるかどうかです。


赤ちゃんが後追いする心理的背景

後追いには、赤ちゃんの心理が色濃く反映されています。もっとも大きな理由は「愛着形成」です。愛着とは、赤ちゃんが特定の養育者(多くはママやパパ)に対して抱く深い信頼や安心感のこと。この愛着関係が形成されることで、赤ちゃんは安心して世界を探索できるようになります。しかし同時に、「愛着の対象」がいなくなると強い不安を感じるようになるのです。後追いは、その愛着の裏返しともいえます。

また、後追いは「分離不安」とも密接に関係しています。分離不安は、生後6か月〜2歳頃までの間に多くの赤ちゃんに見られる自然な発達過程で、「大好きな人がいなくなると困る」という感情が行動として表れるものです。これは決してマイナスなことではなく、むしろ健やかな発達の証拠でもあります。

さらに、赤ちゃんにとってママやパパは「安全基地」です。心理学者ジョン・ボウルビィの愛着理論では、安全基地の存在が赤ちゃんの探索行動を支えるとされます。赤ちゃんは安全基地から離れて遊びに行きますが、不安を感じたときや安心したいときには再び戻ってきます。後追いは、この「安全基地に戻る」行動の一種でもあります。

例えば、ママが洗濯物を干しにベランダに出た瞬間、泣きながらハイハイしてくる赤ちゃんは、「どこ行ったの?戻ってきて!」というサインを送っているわけです。また、抱っこされるとすぐに泣き止むのも、安全基地に戻れた安心感からです。

後追いの有無は、愛情の有無や親子関係の良し悪しを単純に示すものではありません。むしろ、赤ちゃんの性格や環境によって、後追いの仕方や強さが異なるのです。たとえ後追いがなくても、目が合うと笑ったり、声を出して喜んだりするなら、それは十分に愛着が形成されている証拠といえるでしょう。

後追いをしない赤ちゃんに見られる特徴

後追いをしない赤ちゃんには、いくつかの共通した特徴が見られます。まず一つ目は「環境への順応力が高い」ことです。例えば、ママやパパが別の部屋に行っても落ち着いておもちゃで遊び続けられる子は、周囲の環境に対して安心感を持っている可能性が高いです。これは、日常的に人の出入りがある家庭や、保育園などで多くの人に囲まれて育っている場合によく見られます。

二つ目は「一人遊びが得意」という点です。後追いをしない赤ちゃんの中には、自分の世界に没頭しやすく、ブロックや絵本などに集中して取り組む時間が長い子がいます。このタイプは、ママが一時的に離れても気づかないことさえあり、後追い行動があまり見られません。

三つ目は「好奇心が外向きではなく内向き」の場合です。外の世界に興味津々で常に探検していたいタイプの赤ちゃんは、安全基地であるママを頻繁に確認しに行きますが、内向きな子は自分の遊びや手元の物に集中するため、後追いの必要性をあまり感じません。

また、性格的に落ち着いていて不安を感じにくい赤ちゃんや、人見知りが少ない赤ちゃんも後追いが目立たない傾向にあります。これは決して発達が遅れているサインではなく、むしろ「自分のペースで安心できる時間を過ごしている」ことの表れです。重要なのは、笑顔やアイコンタクト、呼びかけに応じる反応があるかどうかであり、後追いの有無だけで判断することは避けましょう。


性格や気質による影響

赤ちゃんの後追い行動には、性格や気質が大きく関わっています。例えば、「敏感タイプ」の赤ちゃんは、小さな環境の変化や親の表情の変化にもすぐに気づきます。そのため、ママが見えなくなると強い不安を感じやすく、後追い行動も激しくなります。一方で、「おおらかタイプ」の赤ちゃんは、少しの変化には動じず、ママがいなくなっても自分の遊びを続けることができます。

心理学では、こうした気質は生まれ持った特性であり、しつけや育て方だけで決まるものではないとされています。さらに、赤ちゃんが育つ環境との相性も大きな影響を与えます。たとえば、敏感な赤ちゃんが静かな家庭で育つ場合と、賑やかな家庭で育つ場合では、後追い行動の出方が異なることがあります。

また、同じ家庭で育った兄弟姉妹でも、後追いの時期や強さが全く違うことは珍しくありません。長男は生後7か月から強い後追いをしたのに、弟はほとんどしなかったというケースもあります。これは性格の違いだけでなく、家庭の環境や親の育児スタイル、赤ちゃん自身の発達スピードが影響しているのです。

つまり、後追いをするかしないかは「発達の良し悪し」ではなく、その子の個性の一部と考えることが大切です。後追いが少ないからといって愛情が不足しているわけでもなく、逆に後追いが激しいからといって依存的になりすぎるとも限りません。親としては、その子の気質を理解し、安心できる環境を整えることが大切です。


後追いがない場合に心配すべきサイン

後追いがないこと自体は珍しくなく、多くの場合は心配不要です。しかし、他の発達のサインも同時に見られない場合には注意が必要です。具体的には、以下のような様子が続く場合は小児科や発達相談窓口に相談すると安心です。

  1. アイコンタクトがほとんどない
     ママやパパの顔をあまり見ない、笑いかけても表情が変わらない場合は、視覚や社会的発達の確認が必要です。
  2. 声や音への反応が薄い
     名前を呼んでも振り向かない、物音にあまり反応しない場合は、聴覚や注意力の発達を確認する必要があります。
  3. 人への興味が極端に少ない
     親子だけでなく他の人にもほとんど関心を示さない場合、社会性の発達に関わる要因を確認することが望ましいです。

また、後追いがまったくないまま2歳を過ぎても、言葉やジェスチャーでの意思疎通がほとんどない場合は、発達支援の専門家による評価が役立ちます。ただし、こうしたチェックポイントはあくまで「目安」であり、1つ当てはまったからといって直ちに問題があるわけではありません。

重要なのは、日常生活で少しずつでもコミュニケーションのやり取りができているかどうかです。後追いの有無だけで判断せず、全体的な発達の様子を見て判断することが、赤ちゃんにとっても親にとっても安心につながります。

後追いをしない5つの原因

環境の安心感が強いケース

後追いをしない赤ちゃんの中には、すでに環境への安心感がしっかり根付いている子がいます。例えば、祖父母や兄弟姉妹など常に誰かがそばにいて、赤ちゃんが孤独を感じにくい環境で育っている場合、ママやパパが一時的に離れても不安を感じにくくなります。また、保育園に通っている赤ちゃんは、多くの保育士さんやお友達と関わる中で、「ママは必ず戻ってくる」という経験を繰り返し、安心感を身につけていきます。

さらに、家庭での生活リズムが整っていて、授乳や寝かしつけなどが規則的に行われている場合も、赤ちゃんは次に何が起きるかを予測できるため、不安が少なくなります。このような「予測可能な環境」は、心理的な安定をもたらし、後追い行動を抑える要因となります。

例えば、Aちゃんは毎日同じ時間に食事と昼寝をしており、ママが洗濯や料理をしている間も安心して遊んでいます。一方、生活が不規則でママが突然いなくなることが多いBくんは、後追いが激しくなる傾向があります。

つまり、後追いをしないからといって「愛着が薄い」とは限りません。むしろ、赤ちゃんが環境に十分な信頼を置いている証拠であり、それは親の関わりが安定していることの表れともいえます。


赤ちゃんの成長スピードの個人差

赤ちゃんの発達スピードには大きな個人差があります。歩き始める時期や言葉が出る時期と同じように、後追いが始まる時期もバラバラです。一般的には6〜9か月頃に見られますが、1歳を過ぎてから始まる赤ちゃんもいれば、ほとんどしないまま成長する赤ちゃんもいます。

発達の順序自体は多くの赤ちゃんで共通していますが、そのタイミングは一人ひとり異なります。たとえば、ハイハイやつかまり立ちなどの運動発達が早い子は、探索活動が忙しく、後追い行動が遅れることがあります。また、言葉や音への興味が強い子は、親の姿を追いかけるよりも、声や音でのやりとりに集中する傾向があります。

実際に、私の知人の赤ちゃんCちゃんは、1歳半までほとんど後追いをしませんでしたが、2歳になる前には言葉がぐんと増えて親との会話を楽しむようになりました。このように、発達のスピードや順序は「その子の得意分野」によっても変わります。

したがって、後追いの有無だけで発達を判断するのではなく、赤ちゃん全体の成長を長い目で見守ることが大切です。


保育園や家族構成による影響

赤ちゃんが後追いをしない理由の一つに、日常的に多くの人と接している環境があります。保育園に通っている赤ちゃんは、複数の保育士さんやお友達と過ごすため、特定の人への依存がやや薄まり、ママがいない状況にも慣れやすくなります。

また、大家族で暮らしている場合や兄弟姉妹が多い場合も同様です。常に人の気配があるため、ママがいなくても寂しさを感じにくく、後追いが目立たなくなります。さらに、兄や姉が遊んでくれることで、赤ちゃんの注意が他に向きやすくなります。

一方で、一人っ子でママとの時間が圧倒的に多い場合は、ママがいなくなると不安になりやすく、後追いが強くなる傾向があります。このように、家庭環境や人との関わり方の多さは、後追い行動の強弱に大きな影響を与えます。

この理由から、保育園に通っている子や兄弟がいる子は「後追いをしない」ことがあっても、それは環境に順応している証拠と考えられます。


親との関わり方や距離感

赤ちゃんと親との距離感も、後追い行動に大きく関係します。常に密着して過ごしている場合、ママが少しでも離れると不安になりやすく、後追いが激しくなります。一方で、適度に離れて過ごす時間があると、赤ちゃんは「ママはいなくなっても戻ってくる」という学習を繰り返し、不安を感じにくくなります。

例えば、Dくんの家庭では、ママが料理をしている間はベビーサークルで遊ばせる時間を設けています。この「短時間の別行動」を日常的に繰り返すことで、Dくんはママが戻ってくることを信じられるようになり、後追いをしなくなりました。

重要なのは、赤ちゃんとの距離を無理に作るのではなく、自然な形で「離れても安心」という経験を積ませることです。こうした関わり方は、将来の自立心や自己肯定感の土台にもなります。


発達面で気になるポイントと見極め方

後追いをしない赤ちゃんのほとんどは心配不要ですが、中には発達面でのサインが隠れている場合もあります。見極めのポイントは、他の発達項目とのバランスです。

  • アイコンタクトや笑顔のやり取りがあるか
  • 呼びかけに反応するか
  • 興味の対象が人にも向いているか
  • 模倣や簡単なジェスチャーをするか

これらが揃っていれば、後追いの有無は大きな問題ではありません。しかし、これらがほとんど見られない場合や、2歳を過ぎてもコミュニケーションのやり取りが乏しい場合は、専門機関での相談が安心です。

発達の見極めは、親だけで抱え込まず、保健師や小児科医、発達支援センターの意見を取り入れることが大切です。

後追いがないときの親の接し方

無理に後追いを促さない大切さ

赤ちゃんが後追いをしないと、「もしかして愛着が薄いのでは?」と不安になる親御さんは少なくありません。しかし、後追いはあくまで発達過程の一部であり、必ずしも全員に見られる行動ではありません。無理に促そうとすると、逆に赤ちゃんに不安やストレスを与えることがあります。

例えば、「ママがいなくなったら寂しい」という感情をわざと起こさせようと、頻繁に隠れたり急に部屋を出たりすると、赤ちゃんは混乱してしまう可能性があります。また、過度に「追ってほしい」という親の期待が伝わると、赤ちゃんは自分のペースで安心を感じにくくなります。

大切なのは、後追いがないことをネガティブに捉えず、その子の性格や発達に合った接し方をすることです。例えば、一人遊びを楽しんでいるなら、その時間を尊重し、そっと見守ることも愛情の一つです。そして、後追いの有無に関係なく、笑顔やアイコンタクト、声かけを通して安心感を伝えていけば、赤ちゃんの情緒は安定します。

心理学的にも、「安心型の愛着スタイル」は無理な刺激ではなく、安定した関わりから育まれるとされています。つまり、後追いがない赤ちゃんには、追いかけさせるよりも、「そばにいてくれる」という信頼感を積み重ねる方がずっと大切なのです。


安心できるスキンシップの取り方

後追いが見られない赤ちゃんでも、スキンシップは情緒の安定に欠かせません。抱っこやハグ、頬ずりなど、肌と肌の触れ合いはオキシトシンという“幸せホルモン”を分泌させ、親子の絆を強めます。

具体的には、朝起きたときに「おはよう」と抱きしめる、寝る前に「おやすみ」と優しく撫でるといったルーティンが有効です。また、おむつ替えや着替えの際に「大好きだよ」と声をかけながら頬を寄せるだけでも、赤ちゃんは安心感を得られます。

スキンシップは単に抱っこするだけでなく、遊びの中にも取り入れられます。たとえば「高い高い」や「こちょこちょ遊び」、おんぶや肩車などは、赤ちゃんにとっても楽しい時間です。また、スキンシップ中はスマホを見たりせず、目を合わせることが重要です。この「視線のやりとり」こそが愛着形成のカギを握っています。

研究によれば、毎日短時間でも密なスキンシップをとる家庭の子どもは、不安が少なく、自己肯定感も高まりやすいとされています。後追いの有無に関わらず、こうした触れ合いは将来の情緒発達に良い影響を与えるのです。


声かけや表情で愛情を伝える方法

赤ちゃんは、言葉の意味が完全にわからなくても、声のトーンや表情から感情を読み取ります。後追いがない赤ちゃんでも、親の優しい声や笑顔はしっかりと心に届いています。

例えば、料理中に離れているときでも「そこにいるよ」「もうすぐ行くね」と声をかけるだけで、赤ちゃんは安心します。さらに、戻ってきたときに笑顔で「待っててくれてありがとう」と伝えると、「離れても必ず戻ってくる」という信頼感が育まれます。

また、表情は声以上に感情を伝える力があります。話しかけるときはできるだけ目線を合わせ、微笑みながらゆっくりと話すことが大切です。赤ちゃんはこの表情の変化から愛情を感じ取り、安心感を得ます。

日常生活の中では、オムツ替えやお風呂の時間、授乳や食事の時間など、親子が自然に向き合える場面がたくさんあります。こうした瞬間を活用して、「うれしい」「たのしい」といったポジティブな感情を声や顔で伝えることが、後追いがない赤ちゃんへの愛情表現となります。


離れていても安心感を与える習慣づくり

後追いがない赤ちゃんでも、離れている時間を不安なく過ごせるような習慣づくりは大切です。特に将来的に保育園や祖父母宅など、親以外の人と過ごす機会が増える場合、この習慣は役立ちます。

一つの方法は「いなくなる前の予告」です。例えば「お洗濯してくるね」「お水を取りに行ってくるね」と短く伝えるだけで、赤ちゃんは「また戻ってくるんだ」と予測できます。これを繰り返すことで、赤ちゃんは離れることを怖がらなくなります。

また、「戻ってきたら必ず挨拶する」ことも大切です。「ただいま」と笑顔で伝える習慣は、赤ちゃんに安心感を与えると同時に、社会的なやりとりの基礎にもなります。

さらに、赤ちゃんが一人で遊んでいる時間を尊重しつつ、時々声をかけたり、背中にそっと触れたりすることで、「見守られている」という感覚を与えられます。これらの積み重ねが、離れても安心できる関係性を築きます。


赤ちゃんのペースを尊重する育児法

後追いの有無にかかわらず、赤ちゃんの育児で大切なのは「その子のペースを尊重すること」です。発達のスピードや興味の対象は一人ひとり異なり、無理に合わせさせようとすると逆効果になります。

例えば、一人遊びが好きな赤ちゃんには、集中できる環境を整えてあげることが大切です。静かな場所でお気に入りのおもちゃを使えるようにするなど、安心して過ごせる環境づくりが有効です。

また、親のペースで抱っこや遊びを無理強いするのではなく、赤ちゃんが求めたときに応じる「レスポンシブケア(応答的養育)」が、信頼関係を深めます。この方法は世界保健機関(WHO)も推奨しており、将来のコミュニケーション能力や自己肯定感の発達にも良い影響を与えます。

赤ちゃんの行動や反応をよく観察し、その子らしいリズムを理解して接することこそ、後追いがあってもなくても健やかな発達につながります。

成長と後追いの関係を知る

後追いは発達の一時的なステップ

後追いは、赤ちゃんの発達過程における一時的な行動であり、ずっと続くものではありません。多くの場合、生後6〜9か月頃に始まり、1歳半〜2歳頃には落ち着く傾向があります。これは、赤ちゃんが「ママやパパは離れても必ず戻ってくる」という経験を積み重ね、自分の世界を安心して探検できるようになるためです。

この後追いの時期は、心理学的には「分離不安期」と呼ばれます。愛着関係が安定していく過程で、一時的に親と離れることへの不安が強まりますが、その後の成長に伴って徐々に和らいでいきます。実際、後追いをしていた赤ちゃんでも、歩けるようになり行動範囲が広がると、自分から親から離れて遊びに行くことが増えてきます。

また、後追いは「自立への準備段階」ともいえます。最初は離れることが不安で泣きながら追いかけていた赤ちゃんも、徐々に短い時間なら親が見えなくても平気になり、やがて長時間でも落ち着いて過ごせるようになります。この経験が、保育園や幼稚園へのスムーズな適応にもつながります。

重要なのは、この時期を「困った行動」として避けるのではなく、発達のサインとして受け止めることです。もし後追いがない場合も、それは赤ちゃんがすでに安心感を得ている、または発達のスピードが違うだけの可能性が高く、心配しすぎる必要はありません。


言葉の発達と後追いの関係

言葉の発達は、後追い行動と密接に関わっています。赤ちゃんは最初、泣くことでしか自分の不安や要求を表現できません。しかし、言葉やジェスチャーが増えると、「待ってて」「あとでね」などの簡単な説明を理解できるようになり、不安が和らぎます。そのため、言葉の発達が早い子は、後追いが比較的短期間で落ち着く傾向があります。

例えば、1歳前後で「ママ」「行く」などの言葉を使えるようになった赤ちゃんは、「ママはすぐ戻る」という言葉を理解して安心できます。一方、言葉の発達がゆっくりな場合は、視覚的な確認(ママが見えるかどうか)に頼る時間が長くなり、後追いが続くことがあります。

また、言葉を覚える過程で、赤ちゃんは親の声を聞くことに喜びを感じます。親が離れていても、声が聞こえれば安心できるようになるため、後追いが減っていくケースも多いです。これは「聴覚による安心感」が形成された証拠といえます。

ただし、言葉の発達スピードは個人差が大きく、後追いがないからといって必ずしも言語発達が早いとは限りません。大切なのは、言葉の有無にかかわらず、親が赤ちゃんに対して頻繁に話しかけ、コミュニケーションの機会を増やすことです。


運動能力の発達とのつながり

運動能力の発達は、後追い行動の有無や時期に直接影響します。ハイハイやつかまり立ちができるようになると、赤ちゃんは行動範囲が一気に広がり、親を追いかけやすくなります。そのため、運動発達が早い子は、比較的早く後追いが始まる傾向があります。

逆に、運動能力の発達がゆっくりな赤ちゃんは、物理的に追いかけることが難しく、後追いがあまり見られない場合もあります。しかし、この場合でも、視線で親を追ったり、声で呼んだりといった形で「後追いに似た行動」は見られることが多いです。

また、歩けるようになると、後追いは一時的に増えることがあります。これは、移動の自由度が増したことで、親を探す行動がしやすくなるためです。しかし、行動範囲の拡大は同時に「自分で行ける」という自信を育て、やがて後追いが減る方向に働きます。

つまり、運動能力の発達は後追いの開始や終了時期に影響するだけでなく、赤ちゃんの自立心や探索行動の発達にも深く関わっています。


感情の成長と親子関係

後追いは、赤ちゃんの感情の成長や親子関係の深まりと密接に関係しています。赤ちゃんは成長とともに、喜びや悲しみ、不安などの感情をよりはっきり表現できるようになります。特に、不安や寂しさといった感情は、親との関係が深まるほど強く出る傾向があります。

親子関係が安定している場合、赤ちゃんは安心して感情を表現できます。これは一見すると後追いが激しいように見えますが、実は信頼関係がしっかり築かれている証拠です。一方、後追いがない場合でも、親の存在が安心感の源になっているなら、感情の成長は順調に進んでいます。

例えば、ママが部屋を出たときに泣かずに遊びを続けても、戻ってきた瞬間に笑顔を見せるなら、それは十分に愛着が形成されているサインです。このように、後追いの有無よりも、感情表現や親とのやりとりの質が重要です。


後追いがなくても健やかに育つ理由

後追いがない赤ちゃんでも健やかに育つ理由は、大きく分けて3つあります。1つ目は、すでに環境や親との関係に安心感を持っていること。2つ目は、性格や気質によって後追いをする必要性を感じにくいこと。3つ目は、他の発達分野(言葉や遊び)が優先的に伸びていることです。

たとえば、保育園に通っていて多くの人と関わる経験をしている赤ちゃんは、ママがいなくても平気で過ごせることが多いです。また、一人遊びや集中する力が強い子は、後追いよりも自分の活動に夢中になります。

さらに、後追いがないことを「特別な発達のサイン」と考える専門家もいます。それは、早い段階で「離れても大丈夫」という感覚を身につけた証拠だからです。重要なのは、後追いがない=発達の遅れと短絡的に結びつけないことです。

不安なときの相談先とサポート

小児科での発達相談

赤ちゃんの後追いが見られず不安を感じたとき、最初に頼れるのは小児科です。小児科は病気やケガだけでなく、発達全般についても相談できる場所です。定期健診や予防接種のタイミングを利用して、「後追いがないのですが大丈夫でしょうか?」と気軽に聞くことができます。

小児科医は、赤ちゃんの成長曲線や発達の様子を総合的に判断してくれるため、親だけでは見落としがちなポイントも指摘してくれます。例えば、後追いがない場合でも、アイコンタクトや指差し、音への反応などが正常であれば、「特に問題なし」と安心させてくれることも多いです。

また、小児科では必要に応じて専門機関への紹介も行ってくれます。発達に特化した小児神経科や発達外来、療育センターなどと連携している場合もあり、早期に適切なサポートを受けるきっかけになります。

私の知人Eさんは、1歳を過ぎても後追いをしない息子さんを心配して小児科で相談しました。医師はその場で発達チェックを行い、「発語や指差しがしっかりできているので大丈夫」と説明。数か月後、息子さんは自然にママの後を追うようになったそうです。このように、小児科は不安を抱え込む前に安心材料をもらえる場所でもあります。


地域の子育て支援センターの活用

地域の子育て支援センターは、親子が安心して過ごせる場所であると同時に、発達や育児に関する相談もできる心強い存在です。支援センターには保育士や子育て経験のあるスタッフが常駐しており、日々多くの親子と接しているため、赤ちゃんの行動や発達に関する情報が豊富です。

支援センターを利用するメリットは3つあります。1つ目は、同じ年齢の子どもたちと触れ合えること。これにより、後追いの有無や行動の違いを自然に比較でき、安心感を得やすくなります。2つ目は、スタッフから客観的な意見をもらえること。「この月齢では後追いしない子も多いですよ」などの一言で、不安が和らぐこともあります。3つ目は、親同士の交流です。先輩ママから体験談を聞くことで、「うちもそうだったけど今は元気に走り回っている」というリアルな話が聞けます。

また、多くの支援センターでは育児講座や発達相談日を設けており、専門家のアドバイスを無料または低料金で受けられます。こうした機会を活用すれば、後追いの有無だけでなく、日々の子育てのヒントも得られます。


保健師や助産師への相談

自治体の保健センターには、保健師や助産師が在籍しており、発達や育児に関する相談に応じてくれます。特に乳児健診や1歳半健診、3歳健診などでは、後追いや人見知りなどの社会性についてもチェックされます。このときに「後追いがなくて不安」と伝えれば、必要な観察やアドバイスを受けられます。

保健師は医療の知識だけでなく、地域の育児支援資源にも詳しいため、必要に応じて発達支援センターや専門外来を紹介してくれることもあります。また、家庭訪問や電話相談を通して、日常の様子をもとに判断してくれる点も安心です。

助産師の場合は、特に0歳児の育児サポートに長けており、授乳や睡眠環境の整え方と合わせて、赤ちゃんの情緒発達についてもアドバイスしてくれます。後追いがない背景に、生活リズムやスキンシップ不足がある場合、助産師の視点から改善策を提案してもらえることもあります。


ママ友や先輩ママからの経験談

同じ子育てをしているママ友や、経験豊富な先輩ママの話は、時に専門家の言葉以上に心を軽くしてくれます。「うちも1歳半まで後追いゼロだったけど、ある日急に始まったよ」というようなリアルなエピソードは、ネットの情報よりも信頼できる場合があります。

公園や支援センター、SNSの育児コミュニティなどで気軽に話すことで、自分の子どもだけが特別ではないと感じられ、安心につながります。また、経験者からは、後追いがない時期の過ごし方や、赤ちゃんが安心できる関わり方の工夫など、実用的なアドバイスももらえます。

ただし、他の子と比較して焦る必要はありません。あくまで参考として受け止め、自分の子のペースを大切にしましょう。


育児に自信を持つための情報源

後追いがないことに不安を感じたら、正しい情報を得ることが大切です。信頼できる情報源としては、小児科医や助産師が監修した育児書、厚生労働省や日本小児科学会の公式サイト、発達支援センターの資料などがあります。

ネット検索では情報が玉石混交で、不安を煽る記事も多いですが、公的機関や医療監修のある情報なら安心して参考にできます。また、動画やオンライン講座など、視覚的にわかりやすい教材を選ぶのも有効です。

さらに、日記や育児記録アプリを使って赤ちゃんの成長を記録することで、客観的に発達を振り返ることができます。「後追いはないけど、笑顔や声の反応は増えている」など、成長の証を確認することで、自信を持って育児に向き合えるようになります。

まとめ

赤ちゃんの後追いは、多くの場合、生後6〜9か月頃に始まり、1歳半〜2歳頃には落ち着く一時的な発達段階です。しかし、全ての赤ちゃんに見られるわけではなく、後追いをしないまま成長する子も珍しくありません。その理由は、環境への安心感、性格や気質、生活リズム、保育園や家族構成、発達スピードなど、多岐にわたります。

後追いがない場合でも、笑顔やアイコンタクト、呼びかけへの反応、遊びへの興味など、他の発達サインがしっかり見られれば心配は不要です。逆に、こうした反応が乏しい場合や、2歳を過ぎても意思疎通がほとんどない場合は、小児科や保健師などの専門家に相談すると安心です。

親として大切なのは、後追いの有無に一喜一憂するのではなく、その子の個性やペースを理解して関わることです。無理に追わせるのではなく、スキンシップや声かけ、表情で愛情を伝え、離れていても安心できる習慣をつくることが、赤ちゃんの情緒的な成長を支えます。

後追いはあくまで一つの発達サイン。しない場合でも、それはその子が安心できる環境や信頼関係を築けている証かもしれません。安心して、赤ちゃんとの時間を楽しんでください。

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