赤ちゃんのお座りがなかなかできないと、「もしかして発達が遅れているのでは?」と心配になりますよね。SNSや周囲の子と比べて焦ってしまったり、育児本の目安と違って不安になったり…。でも、ちょっと待ってください!実は、お座りの時期には大きな個人差があり、遅い=問題というわけではないのです。
この記事では、赤ちゃんのお座りに関する基本知識から、医師がすすめる判断ポイント、自宅でできるサポート法、そして実際のママたちの体験談まで、わかりやすく丁寧にご紹介します。読んだあとには、「うちの子、このままで大丈夫」と思えるような安心とヒントがきっと見つかるはずです。
成長スピードはみんな違う!赤ちゃんのお座りの基本を知ろう
お座りの平均時期はいつ?
赤ちゃんがお座りを始める平均的な時期は、生後6ヶ月から8ヶ月頃とされています。ただし、これはあくまで「平均」であり、すべての赤ちゃんがこの時期にピッタリできるようになるわけではありません。早い子では5ヶ月頃から安定したお座りができる子もいれば、9ヶ月頃になってやっとしっかり座れるようになる子もいます。個人差がとても大きいのが赤ちゃんの発達の特徴です。
お座りは、赤ちゃんが自分の体をしっかり支えられるようになる発達の一つのステップです。腰まわりや背中の筋肉がしっかりしてくると、倒れずに座れるようになります。また、視野が広がることで世界への興味が増す時期でもあり、お座りができるようになると、遊びの幅も一気に広がっていきます。
保護者の中には、「うちの子、まだ座れないけど大丈夫かな?」と不安になる方も多いかもしれません。でも、発達は決して一本のレールではなく、それぞれのペースで育っていきます。体格や性格、興味の持ち方など、様々な要因が関係しているので、少し遅くても心配しすぎないことが大切です。
ただし、目安の時期を大幅に過ぎていて、他の発達(首すわり、寝返りなど)にも気になる遅れがある場合は、一度小児科で相談してみると安心できます。
どうしてお座りが成長の目安になるの?
赤ちゃんのお座りは、単なるポーズの変化ではなく、体や脳の発達が進んでいる証でもあります。お座りができるようになるためには、背中や腰、首の筋肉がしっかりしていることが必要です。また、バランスを取る力や、手を前につく「三点支持」などの姿勢制御も自然に身につけていく必要があります。
このように、お座りができるということは、運動機能が全体的に発達してきたサインといえるのです。さらに、座って目線が高くなることで、赤ちゃんは今まで見えなかったものに興味を持つようになり、脳への刺激も増えていきます。つまり、お座りは「運動面」と「認知面」の両方の成長を感じられる大きな変化のひとつです。
保護者にとっては、お座りがひとつの節目となることが多く、「次はハイハイかな」「そろそろ離乳食の姿勢を考えようかな」といった生活面の切り替え時期にもなります。そのため、「まだお座りできない=発達が遅れているのでは?」と不安を感じやすくなるのも無理はありません。
しかし、お座りは「成長の目安」ではあっても「絶対の基準」ではありません。大切なのは、赤ちゃん自身のペースで自然とできるようになることです。焦らずに見守りながら、必要に応じてサポートしていきましょう。
お座りに必要な体の発達とは?
赤ちゃんがお座りをできるようになるには、いくつかの体の発達が必要です。最も重要なのが「体幹(たいかん)」と呼ばれる胴体部分の筋肉の発達です。体幹がしっかりしていないと、バランスをとれずに前後左右に倒れてしまいます。また、首のすわりもお座りの前提条件です。首がしっかり座ることで、頭を支える力が安定し、そこから背筋・腰まわりの筋肉が育っていきます。
さらに、股関節の柔らかさもお座りには必要です。赤ちゃんは最初、足を前に投げ出す「W字座り」や「三角座り」など、さまざまな姿勢をとりますが、股関節に柔軟性がないと、安定して座ることが難しくなります。加えて、手を前について支える動き(「三点支持」)も大切です。手で体を支えることでバランスがとりやすくなり、座る練習につながります。
こうした発達は、赤ちゃんが自由に動き回れる環境や、たくさんの遊びによって自然と身についていくものです。日々のスキンシップや遊びの中で、赤ちゃんが自分の体を上手にコントロールできるようになることが、お座りへの近道です。無理に練習させたり、座らせようとするよりも、赤ちゃん自身のタイミングを大切にしましょう。
「お座りが早い=成長が早い」は本当?
「うちの子、もう5ヶ月で座れた!」という話を聞くと、「早いってことは成長が早いのかな?」と思う方もいるかもしれません。ですが、「お座りが早い=全体の成長が早い」というわけではありません。あくまでお座りは発達の中の一部であり、他の面(言葉、感情、手先の動きなど)が同じように進んでいるとは限らないのです。
また、早くお座りできたとしても、それが必ずしも良いこととも限りません。まだ十分な筋肉がついていないのに、無理にお座りの姿勢をとらせてしまうと、腰や背中に負担がかかったり、姿勢が歪んでしまう可能性もあります。自然なタイミングで体が整ってから座れるようになるのが一番理想的です。
逆に、お座りが遅いからといって他の発達も遅れているとは限りません。たとえば、ハイハイやつかまり立ちのほうが早くできる子もいます。お座りよりも動くことに興味がある赤ちゃんも多く、個性によって発達の順番が変わることは珍しくありません。
育児書やSNSで他の子と比べてしまいがちですが、大切なのは「その子の中での成長のバランス」です。焦らず、赤ちゃんの様子をよく観察してあげましょう。
正しいお座り姿勢とNG例
赤ちゃんが安全かつ快適にお座りするためには、正しい姿勢を知っておくことが大切です。理想的なお座り姿勢は、背筋がまっすぐに伸びていて、両足が左右に広がって安定している状態です。この姿勢だと、重心がしっかり中央にあり、バランスがとりやすくなります。また、手を前について支えている「三点支持」の状態も、初期のお座り姿勢としてよく見られます。
一方で、避けたほうが良い姿勢もあります。たとえば、背中が丸くなって前かがみになっていたり、足が不自然に交差していたりする場合は、筋力や骨格に負担がかかる可能性があります。また、椅子やクッションなどに寄りかかって長時間座っていると、体が自力で支えられず、正しい筋力が育ちにくくなることも。
特に注意が必要なのが、「W座り」です。膝を内側に曲げ、足を外側に出して座るこの姿勢は、一見安定しているように見えますが、股関節や膝に負担をかけ、将来的にO脚や内股歩きの原因になることもあります。W座りを見つけたら、優しく姿勢を直してあげましょう。
赤ちゃんが自分の力で座れるようになるまでは、補助的に支えることは必要ですが、無理に長時間座らせるのはNGです。短時間ずつ、遊びながら自然に慣れさせるのが理想的なサポート方法です。
お座りが遅いと感じたときに考えたい5つのチェックポイント
月齢だけで判断していない?
赤ちゃんのお座りについて不安に感じるとき、多くの親御さんがまず気にするのが「月齢」です。「もう7ヶ月なのにまだ座れない」「友だちの子は6ヶ月でもうしっかり座ってるのに…」など、月齢を基準にして心配になってしまうことはよくあります。しかし、発達には大きな個人差があるため、月齢だけで判断するのはとても危険です。
実際、6〜9ヶ月の間にはじめてお座りができる赤ちゃんがほとんどで、中には10ヶ月になってやっと安定する子もいます。その違いは、生まれたときの体重や筋肉の発達、普段の生活環境、性格的な好奇心の強さなど、さまざまな要因が影響しています。また、早産で生まれた赤ちゃんの場合は「修正月齢」で見ることも大切です。修正月齢とは、予定日を基準にして月齢を数える方法で、早く生まれた分だけ少し遅れて発達することを考慮するものです。
育児書やSNSでは「◯ヶ月でこれができる」といった情報があふれていますが、それはあくまで目安です。他の子と比べるよりも、赤ちゃん自身のペースを見守ることが重要です。日々の変化や少しずつの成長に気づき、小さな「できた!」を一緒に喜ぶことが、育児の中でとても大切なポイントになります。
首すわりや寝返りのタイミングはどうだった?
お座りの発達を確認するうえで、過去の成長ステップを振り返ることはとても有効です。特に注目したいのが「首すわり」と「寝返り」のタイミングです。これらは体幹(たいかん)の筋肉が育ってきているサインであり、お座りに必要な基盤ができているかを確認する指標になります。
首がしっかりすわるのは一般的に生後3〜4ヶ月頃です。首すわりが安定していれば、頭をしっかり支える力がついている証拠。その次のステップが寝返りで、だいたい4〜6ヶ月ごろにできるようになります。寝返りでは体をひねる動きや背中、腰の筋肉がさらに使われるようになり、これがそのままお座りの準備運動になります。
もし、首すわりや寝返りが比較的遅かったのであれば、お座りも同じように少し遅れる可能性があります。これは自然な流れであり、決して異常なことではありません。逆に、首すわりや寝返りがとても早かったのにお座りが遅れている場合は、バランス感覚や筋肉の使い方に少しばらつきがある可能性も考えられます。
成長は「順番」よりも「全体のバランス」が大切です。一つひとつの動きが連携して発達していく過程を見守りながら、不安な点があれば、成長記録と照らし合わせてみるとヒントが得られるかもしれません。
赤ちゃんの体格や性格は?
お座りの時期が早いか遅いかには、赤ちゃんの体格や性格も大きく関係しています。たとえば、ふっくらとした体型の赤ちゃんは、筋肉や関節の可動域が少し狭くなってしまい、バランスをとるのが難しいことがあります。一方で、ほっそりとした赤ちゃんは体を動かしやすく、お座りやハイハイが比較的早いケースもあります。
また、性格的な違いも無視できません。好奇心旺盛で動きたがる赤ちゃんは、いろいろなポーズにチャレンジしてみる傾向があり、結果として早くお座りすることもあります。逆に、慎重派でのんびりした性格の赤ちゃんは、新しい動きに挑戦するまでに時間がかかることが多く、自然とお座りの時期も遅くなります。
これらの違いは、決して「良い・悪い」ではありません。大切なのは、その子のペースに合わせて成長を見守ることです。お座りが遅いと感じるときは、「うちの子はどんな体格で、どんな性格なんだろう?」と一度立ち止まって考えてみましょう。その気づきが、余計な不安を減らし、赤ちゃんの個性をより深く理解するきっかけになるかもしれません。
一人遊びや興味の対象はどう?
赤ちゃんの発達には、運動能力だけでなく「好奇心」や「興味」も大きく影響します。お座りをすることで、赤ちゃんは視野が広がり、今まで見えなかった世界に触れることができます。だからこそ、赤ちゃんが「座りたい!」と感じるような興味を持っているかどうかは、お座りのタイミングに関係してくるのです。
例えば、手の届くところにあるおもちゃに興味を持ち、自分で触ってみたいと思うようになると、自然と体を起こそうとする動きが出てきます。逆に、仰向けやうつ伏せの状態で満足して遊んでいる場合は、無理に座ろうとする動機が少なくなってしまいます。つまり、「一人遊び」の様子からも、お座りへの意欲を読み取ることができるのです。
また、赤ちゃんが一人で過ごす時間にどれくらい自由に体を動かせるかもポイントです。柔らかすぎるクッションやバウンサーの中に長時間いると、動きたい欲求が育ちにくく、お座りの練習にもつながりません。赤ちゃんが自由にゴロゴロできるスペースを確保して、好きなおもちゃに手を伸ばせる環境を整えることで、自然と「お座りして遊ぶ」という発想が育っていきます。
周囲の環境が関係していることも
赤ちゃんの発達には、環境の影響も少なくありません。たとえば、家の中に自由に動けるスペースがあるかどうか、お世話をしている大人が赤ちゃんとどれくらい関わっているか、お兄ちゃんお姉ちゃんがいるかどうか、などがすべて成長に関係してきます。
広いスペースがあれば、赤ちゃんは仰向けやうつ伏せで自由に体を使いながら、自然と筋肉を鍛えていくことができます。反対に、狭いスペースや常にクッションなどに囲まれていると、体を十分に使えずにお座りの準備が整いにくくなります。また、テレビやスマホなどの強い刺激が多い環境だと、視線が上向きにならず、お座りの姿勢になりにくいことも。
育児をする大人の姿勢も影響大です。話しかけたり、遊び相手になってあげたりすることで、赤ちゃんは「見たい」「動きたい」という意欲が育ちます。また、兄弟姉妹がいる家庭では、上の子の様子を観察して真似しようとすることも、お座りの発達を促す一因になります。
つまり、お座りの遅れが気になるときは、赤ちゃん自身だけでなく、周囲の環境を見直すことも大切です。「赤ちゃんの動きやすさ」と「意欲を引き出す環境」が整っているかをチェックしてみましょう。
医師がすすめる安心の見極め方と相談のタイミング
6ヶ月〜9ヶ月の発達目安とは?
赤ちゃんのお座りに関する発達の目安は、一般的に生後6ヶ月から9ヶ月の間とされています。この時期になると、体幹が発達し、背中や腰の筋肉に力がついてくるため、支えがあれば短時間でも座っていられるようになります。6ヶ月頃は「支えてあげれば座れる」状態、7〜8ヶ月頃には「自分でバランスを取りながら座れる」ようになる子が多く、9ヶ月になると長く安定して座ることができる赤ちゃんが増えてきます。
ただし、この目安はあくまで「平均的な傾向」であり、すべての赤ちゃんに当てはまるわけではありません。早い子もいれば、遅めの子もいます。発達のスピードは、赤ちゃんの体質や生活環境、性格によって大きく左右されるため、月齢だけを基準に「うちの子は遅れているのでは?」と不安になる必要はありません。
この時期に注目したいのは「他の動作がどうか」ということ。例えば、寝返りやうつ伏せ遊びができているか、手を伸ばして物をつかむ動きがあるか、親の声や表情に反応しているか、といった「運動」「認知」「社会性」のバランスを見ることが大切です。
発達は一つの動作だけで判断するのではなく、全体の流れを見て判断することが基本です。お座りだけが遅くても、他の部分が順調ならそれほど心配はいりません。逆に、いくつかの動作で気になる点が重なるようであれば、専門家に相談してみるのが良いでしょう。
相談する前に確認したい3つのこと
「お座りが遅いかもしれない」と感じたとき、小児科や保健師さんに相談するのはとても良い選択です。ただし、相談に行く前に確認しておくと良いことがいくつかあります。事前にチェックしておくことで、相談時にスムーズに状況を説明でき、より的確なアドバイスを受けることができます。
1つ目は、発達の記録です。母子手帳やアプリなどで、首すわりや寝返りがいつ頃できたか、できた瞬間を記録しておくと、医師も発達の流れをつかみやすくなります。また、「最近こんな遊びをしている」「この姿勢になることが増えてきた」など、ちょっとした日常の様子も大事な情報になります。
2つ目は、赤ちゃんの体調と環境のチェックです。風邪をひいていたり、成長期で体が急激に変化しているときには、一時的に運動が落ち着くこともあります。また、家の中で自由に動けるスペースがあるか、毎日どんなふうに過ごしているかなど、環境面も振り返ってみましょう。
3つ目は、自分自身の気持ちの整理です。「どのくらい心配なのか」「何が不安なのか」をはっきりさせておくと、医師に質問しやすくなります。単に「お座りがまだなんです」と伝えるよりも、「◯ヶ月になったけどまだ長く座れない」「寝返りはしてるけど、お座りだけが進まない」と具体的に話せると、より丁寧な対応をしてもらえる可能性が高くなります。
相談の前に、こうした準備をしておくことで、気になることが整理され、安心感につながるはずです。
小児科で聞かれる主な質問とは?
小児科で赤ちゃんの発達について相談する際、医師からは主にいくつかのポイントを確認されます。事前にどんなことを聞かれるのかを知っておくことで、落ち着いて受診することができ、スムーズにやり取りができます。
まず最初に聞かれるのが、月齢と発達状況です。「今、何ヶ月ですか?」「首はすわっていますか?」「寝返りはいつ頃できるようになりましたか?」など、これまでの発達の過程を確認されることが多いです。これにより、お座りが「遅れている」のか「その子なりのペースなのか」を見極める材料になります。
次に聞かれるのは、赤ちゃんの普段の様子です。「うつ伏せは好きですか?」「遊んでいるとき、どんな姿勢が多いですか?」「どんなおもちゃに興味を示しますか?」など、家庭での様子が重視されます。これは医師が家庭環境や赤ちゃんの性格、興味の傾向を把握し、発達に影響する要因を見つけるためです。
さらに、体格や成長曲線の確認も行われます。「体重や身長はどのくらいですか?」という質問があれば、母子手帳の成長曲線を見せられるようにしておくと安心です。発達の早さは、体格のバランスにも影響されるため、全体の成長を見ながら判断する必要があります。
最後に、「気になることはありますか?」といった質問で、親の不安や疑問を確認されることが多いです。このときに、気になっていることを率直に伝えることがとても大切です。
相談しても心配しすぎないために
小児科や保健センターで相談した後も、「やっぱり心配…」「まだ座らないし、何か病気なんじゃ…?」と不安な気持ちが消えないこともあるかもしれません。でも、医師が「問題ないですよ」と言ってくれたなら、それはその子なりの正常な発達の範囲内ということ。必要以上に心配しすぎないようにしましょう。
育児中はつい「周りの子と比べる」クセが出てしまいますが、比較するたびに不安が増してしまう悪循環に陥ることがあります。そのためにも、医師の言葉を信じて、一度安心することが大切です。「今はその時期じゃないだけ」と思えるだけで、心の負担はかなり軽くなります。
また、不安が大きくなったときは、育児の情報から一度距離を置いてみるのもおすすめです。SNSや育児本には「理想の成長像」がたくさん載っていますが、それがプレッシャーになることもあります。赤ちゃんの笑顔や日々の成長に目を向けることで、「できていないこと」ではなく「できていること」を見つける力が育ちます。
不安なときこそ、「誰かに話す」「ゆっくり休む」「赤ちゃんとただ一緒に過ごす」など、自分の心を整える時間を持つことも大切です。心配しすぎないコツは、「不安を抱え込まないこと」。育児はマラソンのように長い旅路です。途中で立ち止まって、深呼吸して、また赤ちゃんの笑顔に元気をもらいながら歩んでいきましょう。
発達支援センターを活用する方法
もし小児科での相談の結果、「もう少し専門的なアドバイスが必要かもしれませんね」と言われた場合、地域の「発達支援センター」を活用するという選択肢もあります。発達支援センターとは、発達に不安のある子どもや、その家族をサポートするための公的な施設で、全国の自治体に設置されています。
ここでは、理学療法士や作業療法士、保育士、臨床心理士などの専門スタッフが在籍しており、赤ちゃんの体の動かし方や、遊びを通じた発達の促進方法など、個別に合わせた支援を受けることができます。相談だけでなく、定期的な教室や遊びの場、親子グループなどの支援活動も行われており、親同士の交流の場としてもとても有意義です。
初めて利用する際は、地域の保健センターや市役所の子育て支援窓口に相談すれば、スムーズに紹介してもらえることが多いです。費用も無料か低額で利用できることがほとんどなので、経済的な負担も少なく、安心して利用できます。
「医師に相談するほどでもないかな…」と思うような悩みでも、支援センターでは丁寧に対応してくれます。誰にも話せずにモヤモヤしていた気持ちが、専門家の一言でスッと軽くなることもあります。発達に関する不安をひとりで抱えず、気軽に利用できる場所として、ぜひ知っておいてほしい支援先です。
自宅でできる!お座りをサポートする優しいトレーニング
首すわりからお座りまでのステップ
赤ちゃんがお座りをできるようになるには、首がすわってから少しずつ段階を踏んでいく必要があります。無理に一足飛びで座らせようとするのではなく、「首すわり→寝返り→うつ伏せ→お座り」という自然な流れを意識することが、無理のない発達を促すカギになります。
まず、首すわりが安定したら、うつ伏せの時間を増やすのがポイントです。うつ伏せになることで、背中や腰、腕の筋肉が鍛えられ、体幹がしっかりしてきます。体幹はお座りにとって最も大切な土台なので、日々の遊びの中でたくさん使わせてあげるとよいでしょう。最初は短時間でも構いません。赤ちゃんが嫌がらない範囲で、少しずつ慣らしていくのがコツです。
うつ伏せに慣れてきたら、左右に体をひねる練習(寝返り)や、両手で上半身を支える練習を取り入れていきましょう。この動きが自然と「手をついて上体を起こす姿勢=三点支持」の練習になります。この姿勢が安定することで、座る準備が整ってきます。
こうしたステップを丁寧に踏むことで、赤ちゃんは自分の体を理解し、バランスをとる感覚を少しずつ身につけていきます。日々の関わりの中で「いま、どんな姿勢を楽しんでいるか?」を観察しながら、その時々に合ったサポートをしてあげましょう。
赤ちゃんの好きな遊びを活かすコツ
お座りのトレーニングと聞くと、特別な運動や道具を想像する方も多いかもしれませんが、実は日常の遊びの中で自然とできることがたくさんあります。赤ちゃんの「好きなこと」を活かすことで、本人も楽しみながら、無理なくお座りの練習につなげることができるのです。
たとえば、赤ちゃんが音の出るおもちゃやカラフルな布などに興味を示すなら、それを少し前方に置いてみましょう。座った状態で手を伸ばそうとすると、自然と前傾姿勢をとり、手で体を支えながらバランスを取る練習になります。このとき、背後からクッションや手で軽く支えてあげると、安心して遊べます。
また、絵本が好きな赤ちゃんであれば、お膝の上に座らせて絵本を読むのも効果的です。視線を上下左右に動かすことが、姿勢の安定やバランス感覚の向上につながります。歌遊びが好きな子なら、ママ・パパの前に座らせて、手遊びやリズム遊びをするのも良いトレーニングになります。
遊びの中で大切なのは、「赤ちゃんが楽しく過ごせているかどうか」です。無理に練習させるとストレスになってしまい、お座りが嫌いになってしまうこともあります。赤ちゃんのペースに合わせて、その子が自然に「やってみたい」と思える環境づくりを意識することが、お座りへの近道になります。
使ってよかった!おすすめおもちゃ3選
お座りの練習をサポートするのに役立つおもちゃはたくさんありますが、特に「手を使って遊べるもの」「視線を引きつけるもの」「バランス感覚を養えるもの」が効果的です。ここでは、実際に多くのママパパが「使ってよかった!」と感じた3つのおもちゃをご紹介します。
① アクティビティキューブ
いろいろな仕掛けが詰まった立方体型のおもちゃで、赤ちゃんが前に身を乗り出して遊ぶようになります。手先を使ってつまんだり、くるくる回したりする動作が多く、座った姿勢を長く保つ練習に最適です。
② 転がるおもちゃ(ボール・ころがしタワー)
転がるものを追いかけようとすると、自然と前傾姿勢になり、手で体を支えながらバランスを取るようになります。追視力(目で追う力)も鍛えられ、認知発達にもプラスの効果があります。
③ 音の出るおもちゃ(ラトル・ボタン式ピアノ)
音に反応して手を伸ばす動きが促され、好奇心が刺激されます。楽器タイプは繰り返し遊びにも向いていて、飽きずに集中する時間が増えるため、長めのお座りにもつながりやすくなります。
これらのおもちゃを使うときは、必ず大人が近くで見守り、転倒などの危険がないように配慮しましょう。お座りの練習は「安全に」「楽しく」が基本です。
姿勢を支える簡単グッズとは?
お座りをサポートするための補助グッズには、赤ちゃんの姿勢を整えるのに役立つものがいろいろあります。代表的なものとしては、「ベビーチェア」「お座りクッション」「バンボチェア」などがあります。これらのグッズは、赤ちゃんが正しい姿勢を取りやすくなり、筋力の発達を助けてくれる優れものです。
まず人気なのが「バンボチェア」。やわらかい素材でできており、赤ちゃんの腰と背中をしっかりホールドしてくれます。短時間座らせるのにちょうどよく、離乳食のときや遊びタイムにも活用できます。ただし、長時間座らせるのはNGで、1回につき10〜15分ほどが目安です。
次におすすめなのが「お座り用クッション」。U字型やドーナツ型のクッションは、赤ちゃんがぐらついても倒れにくいように設計されています。後ろに倒れてもクッションが支えてくれるので、安心して座らせることができます。床に直置きするタイプのため、動きやすさを保ちつつ、体を鍛えることにもつながります。
また、バスタオルを丸めて腰の後ろに入れるだけでも、簡易的なサポートができます。これなら特別な道具がなくても、すぐに始められますね。
どのグッズを使うにしても、「補助はあくまで一時的」なものと理解し、赤ちゃんが自分の力で座れるようになるためのサポートとして活用するのがポイントです。
無理させず楽しく続けるために
お座りの練習で最も大切なことは、「赤ちゃん自身が楽しいと感じているかどうか」です。親が一生懸命になるあまり、つい無理に座らせたり、長時間練習させたりしてしまうと、赤ちゃんにとっては負担になります。そうなると、お座りそのものが苦手になってしまう可能性もあるため、注意が必要です。
まず意識したいのは、「短時間でも毎日少しずつ続けること」。1日10分でも、赤ちゃんが機嫌よく遊びながらお座りを体験できれば、それだけで十分なトレーニングになります。機嫌が悪いときや眠たいときは、無理にやらせず、日を改めてみましょう。
また、赤ちゃんが成功したときには、たくさん褒めてあげることも忘れずに。笑顔や声かけは、赤ちゃんにとって最大のごほうびです。「楽しい」「もっとやってみたい」という気持ちが、自然な成長につながります。
トレーニングにこだわりすぎず、遊びの延長としてお座りの姿勢を取り入れるくらいの気持ちでOKです。赤ちゃんの笑顔を大切にしながら、親子でリラックスして取り組むことが、結果的に最も効果的な方法になります。
体験談に学ぶ「うちの子も遅かったけど大丈夫だったよ」
9ヶ月すぎてから急にできた!Aさんの話
Aさんの娘さんは、生後9ヶ月になるまでまったくお座りの気配を見せませんでした。同じ月齢の友だちの赤ちゃんたちが7ヶ月ごろからしっかり座っているのを見て、「どうしてうちの子はまだ…?」と不安になったと言います。保健センターの身体測定でも「そろそろ座れる頃ですね」と言われ、プレッシャーを感じていたそうです。
そんな中でAさんがしたことは、無理に練習をさせるのではなく、娘さんの好きな遊びをもっと増やすことでした。転がるボールを使って床で一緒に遊んだり、うつ伏せで読める絵本を使ったり、遊びを通じて「体を動かすのって楽しい!」と感じてもらうことを意識したといいます。
すると、9ヶ月を過ぎたある日、いつものようにおもちゃで遊んでいると、娘さんがふとした瞬間にバランスを取りながら一人で座っていたのです。特別な練習をしたわけでもなく、自然に「その時」が訪れたのを見て、Aさんはとても驚き、そして安心したそうです。
この体験からAさんが学んだのは、「赤ちゃんにはその子のタイミングがある」ということ。周囲と比べて焦るよりも、我が子を信じて見守ることの大切さを強く感じたと話しています。
「比べすぎてた」と気づいたママの声
Bさんは、第一子の育児にとても熱心なママでした。毎月育児雑誌をチェックして、「〇ヶ月ではこれができる」「これができなければ要注意」といったチェックリストに一喜一憂していました。特に気になったのが、お座りの時期。他の子が6ヶ月でしっかり座れているのに、自分の子どもは7ヶ月になってもまだグラグラ…。それがストレスになり、赤ちゃんのことを「どうしてできないの?」と責めてしまいそうになることもあったそうです。
そんなとき、ママ友から「比べる育児は疲れるよ。〇〇ちゃんは〇〇ちゃんのペースでいいんだよ」と声をかけられ、ハッとしたと言います。その言葉をきっかけに、「なぜ自分は育児にこんなに緊張していたんだろう」と振り返るようになり、少しずつ考え方を変えていったそうです。
Bさんは、赤ちゃんの小さな変化や表情に目を向けるようにし、「今日は手をついて座れたね」「昨日より長くおもちゃに集中できたね」と、できたことを褒める育児にシフト。すると、いつの間にか赤ちゃんも落ち着いて遊べるようになり、自然とお座りも安定してきたそうです。
比べることで不安が生まれ、比べないことで安心が生まれる——この経験は、多くの親にとって大きなヒントになるでしょう。
支援センターで安心できたエピソード
Cさんは、お座りの発達が気になって、近所の子育て支援センターに相談に行ったママです。「相談に行くなんて大げさかな…」と迷ったものの、育児が不安でいっぱいだったため、一度話を聞いてもらおうと決心したそうです。
センターでは、保育士さんや理学療法士さんが親身に話を聞いてくれて、「〇ヶ月で座れない子はたくさんいますよ」「むしろ寝返りやうつ伏せが楽しくて座りたがらない子も多いです」と説明してくれました。その言葉に、Cさんは涙が出そうになるほどホッとしたと言います。
また、支援センターでは同じような月齢の赤ちゃんたちが自由に遊ぶ姿を見学でき、「いろんな子がいるんだな」と実感できたのも大きな安心材料になったとのこと。家の中だけでは見えなかった「他の子どもたちのリアル」を見たことで、我が子の成長をより柔軟に捉えられるようになりました。
さらに、支援センターではお座りを促す遊びや姿勢の整え方なども教えてもらい、家でもできるアドバイスがたくさん得られたそうです。専門家の声と地域のサポートが、Cさんにとっては大きな支えとなった体験でした。
お兄ちゃんと違って個性だった!
Dさんは、2人の男の子を育てるママです。長男は5ヶ月でしっかりお座りでき、運動系の成長がとても早いタイプでした。それに対して、次男は8ヶ月になっても座る気配すらなく、Dさんは「同じように育ててるのに、なんでこんなに違うの?」と戸惑ったそうです。
しかし、よく観察してみると、次男はお兄ちゃんよりもじっくりと物を見たり、おもちゃを両手でいじったりするのが大好きで、体よりも「指先」や「視線」を使った遊びを楽しんでいたのです。その姿を見て、「この子は運動より観察タイプなんだ」と気づいたDさんは、発達の方向性には個性があることを実感したといいます。
しばらくして、次男も自然とお座りができるようになり、成長のペースは違っても、ちゃんと前に進んでいることを確信できたとのこと。「きょうだいでもこんなに違う。だから、比べても意味がない」と今では笑って話してくれました。
この体験は、「兄弟姉妹=同じ成長ではない」ことを実感させてくれるものであり、多くの親にとって「個性を大切にする」ヒントになるでしょう。
プロに相談して気が楽になった話
Eさんは、赤ちゃんが10ヶ月になっても一人で座れず、心配が募って小児リハビリを専門とする発達外来に相談したママです。初めての育児で、ネットや本を読みすぎては不安になり、「もしかして障害があるのでは…?」と夜も眠れないほど悩んでいたそうです。
専門の先生に診てもらった結果、「発達のスピードはゆっくりだけど、今のところ問題ないですよ」との診断に、涙が出るほど安心したと言います。先生は、赤ちゃんの動きや姿勢を丁寧に観察しながら、どの筋肉がまだ弱くて、どんな遊びをするといいかなど、わかりやすくアドバイスしてくれました。
さらに、「発達のスピードは長い目で見てあげてください。早ければいいわけではないですよ」とやさしく言ってくれたことが、心に深く残ったとのこと。Eさんはその日から、「この子のペースを信じよう」と思えるようになり、表情も明るくなったそうです。
誰かに相談することで、思い込みや不安から解放されることはたくさんあります。特に専門家の声は、親の気持ちを支える強い味方になります。
まとめ:赤ちゃんのお座りには「その子のペース」がある
赤ちゃんのお座りは、成長の一つの節目として注目されがちですが、実際には「いつ座れるか」よりも「どのように成長してきたか」を見ることがとても大切です。
月齢や他の子との比較だけで判断するのではなく、首すわりや寝返りといったこれまでの発達の流れ、赤ちゃんの体格や性格、生活環境など、さまざまな要素が関係しています。
この記事では、お座りの発達時期の平均や体の仕組み、医師による見極めポイント、自宅でできるやさしいサポート方法、そして多くの家庭の体験談までを幅広く紹介しました。どの情報も共通しているのは、「焦らず見守ることが一番のサポート」ということ。
不安になったときは、小児科や発達支援センターなど、信頼できる専門機関に相談するのも良い方法です。そして何よりも大切なのは、赤ちゃん自身のペースを尊重し、日々の成長を一緒に楽しむ気持ちです。
「うちの子、まだ座れない…」ではなく、「今日はどんな発見があるかな?」という視点で赤ちゃんとの毎日を楽しんでくださいね。