赤ちゃんの粉ミルクを作るとき、「ウォーターサーバーのお湯を使ってもいいの？」と疑問に思ったことはありませんか？最近では家庭にウォーターサーバーを設置する家庭も増え、手軽にお湯や水が使える便利さから、ミルク作りに使いたいという声もよく聞かれます。
しかし、実はウォーターサーバーのすべてが赤ちゃんのミルク作りに適しているわけではないというのが現実です。水の種類（硬水・軟水）や成分、温度設定によっては、赤ちゃんの体に負担をかける可能性もあるため注意が必要です。
この記事では、「ウォーターサーバーでミルクを作るのは本当にダメなのか？」という疑問に答えながら、赤ちゃんに適した水の条件、おすすめのウォーターサーバーの選び方、そして他の水との比較など、初めての育児でも安心して判断できる情報をわかりやすく解説します。
これからウォーターサーバーの導入を検討している方や、すでに使っていて不安がある方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
ウォーターサーバーでミルクを作るのは本当にダメ？
結論：使える場合と使えない場合がある
結論から言うと、すべてのウォーターサーバーで赤ちゃんのミルクを作ってもいいというわけではありません。ウォーターサーバーの種類や水の成分、温度設定などによって「使える場合」と「使えない場合」があります。
例えば、多くの粉ミルクメーカー（明治、和光堂、雪印など）は、「70℃以上のお湯」で調乳することを推奨しています。これは、粉ミルクにまれに含まれる可能性のある「サカザキ菌」などを死滅させるためです。しかし、ウォーターサーバーの温水が必ずしも70℃以上あるとは限らず、出した直後でないと温度が足りない場合もあります。
また、使われている水が「硬水（ミネラルが多い水）」だった場合、赤ちゃんの腎臓に負担をかけてしまうリスクがあります。ミルク作りには「軟水（硬度60mg/L未満）」が望ましいとされており、水の種類を確認することも重要です。
したがって、ウォーターサーバーでミルクを作るのがOKかどうかは、以下の2点で判断しましょう：
- ① 温水の温度が70℃以上出ること
- ② 使用されている水が軟水であること
これらを満たしていれば、ウォーターサーバーでのミルク作りも問題ありません。逆に、どちらかでも条件を満たしていない場合は避けた方が安全です。
ミルク作りに不向きとされる理由とは？
ウォーターサーバーが赤ちゃんのミルク作りに不向きとされるのには、主に以下の3つの理由があります。
1. 温度管理が不安定な場合がある
粉ミルクは70℃以上のお湯で溶かすことで、菌（特にサカザキ菌）を死滅させる必要があります。これは厚生労働省やWHO（世界保健機関）も推奨している基準です。しかし、ウォーターサーバーの温水は多くの場合、約80〜90℃の設定でも、出湯直後でないと温度が足りないことがあります。また、一定時間お湯を出し続けた後などは温度が下がることもあり、確実に70℃以上が保たれているとは限らない点が不安要素となります。
2. ミネラル成分が多すぎる場合がある
赤ちゃんに与える水としては軟水（硬度60mg/L未満）が理想とされています。ウォーターサーバーによっては天然水やミネラルウォータータイプのものを使用している場合があり、これらはカルシウムやマグネシウム、ナトリウムなどの含有量が高く、赤ちゃんの腎臓に負担をかける可能性があります。
3. 再加熱された水が使われることがある
ウォーターサーバーのお湯は一度沸騰させた後、内部タンクで保温して再加熱される仕組みが多いですが、これにより酸素が減少した「再沸騰水」になってしまうことも。風味や栄養成分に影響する可能性があり、ミルク作りにはあまり望ましくないとされる場合もあります。
このように、水質と温度の両面でリスクがあるため、ウォーターサーバーの使用には慎重な判断が求められます。もちろん、近年ではミルク作りに適した「ベビー向け設計」のウォーターサーバーも登場しており、それらであれば問題はありません。
硬水・軟水の違いが赤ちゃんの身体に与える影響
「硬水」か「軟水」かという水の分類は、水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分の量（硬度）によって決まります。硬度が120mg/L以上の水を「硬水」、60mg/L未満の水を「軟水」と呼ぶのが一般的です。
大人にとっては硬水に含まれるミネラルは健康に良いとされることもありますが、赤ちゃんの体には大きな負担となる可能性があります。その理由を詳しく見てみましょう。
赤ちゃんの腎臓は未発達
赤ちゃんの内臓器官、特に腎臓はまだ発達段階にあるため、体内のミネラルバランスを調整する機能が未熟です。ミネラルが多すぎる水（＝硬水）を摂取すると、体内で処理しきれず、下痢を引き起こしたり、腎臓に負担をかけてしまうリスクがあります。
栄養バランスの乱れにつながる可能性
粉ミルク自体が赤ちゃんに必要な栄養バランスをしっかり考慮して作られていますが、硬水で溶かすことでミネラル過多となり、ミルクの設計通りの栄養比率が崩れる可能性があります。これは健康への影響を及ぼすこともあるため、避けたいポイントです。
赤ちゃんに最適なのは「軟水」
日本の水道水は多くが軟水のため、沸騰させて冷ました水（湯冷まし）は赤ちゃんのミルク作りに適しています。また、ウォーターサーバーでも「軟水」と明記された製品であれば問題ありません。ただし、天然水タイプはミネラル量が多い場合があるので、成分表示の確認が必須です。
以上のように、赤ちゃんの健康を守るためには「軟水」を選ぶことが重要です。ミルク用に使う水を選ぶ際は、成分表やメーカーの説明をしっかりチェックしましょう。
赤ちゃんのミルクに適した水の条件とは？
軟水が推奨される理由
赤ちゃんのミルク作りには「軟水」が適しているとされています。軟水とは、硬度（カルシウムやマグネシウムなどの含有量）が60mg/L未満の水を指し、赤ちゃんの未発達な腎機能に負担をかけにくいのが特徴です。ミネラルが少ないことで、粉ミルクにすでに含まれている栄養バランスを崩さずに与えられるという点でも安心です。
硬水（120mg/L以上）は成人にとっては健康的でも、赤ちゃんには過剰なミネラル摂取となり、下痢や内臓への負担の原因になります。そのため、軟水を使うことは赤ちゃんの健康管理の基本といえるのです。
赤ちゃんにNGな成分（ナトリウム・カルシウム・硝酸態窒素など）
赤ちゃんの体にとって注意が必要な水中成分には、以下のようなものがあります：
- ナトリウム：過剰摂取により腎臓に負担がかかる
- カルシウム・マグネシウム：硬度が高いと吸収・排出が難しくなる
- 硝酸態窒素：水質汚染により含まれていることがあり、乳児メトヘモグロビン血症のリスクがある
これらの成分が多く含まれる水は、赤ちゃんの体に悪影響を与える可能性があるため、必ず成分表を確認するか「赤ちゃんの調乳に使える」旨の表示がある水を選びましょう。
WHO・厚労省・メーカーが推奨する水の基準
世界保健機関（WHO）や厚生労働省、そして国内の大手粉ミルクメーカー（明治、雪印、森永など）は、赤ちゃんのミルクに使う水について以下のような基準を示しています。
- 硬度：60mg/L未満（軟水）
- ナトリウム：10mg/L以下
- 硝酸態窒素：10mg/L以下（理想は検出されない）
- 殺菌処理：安全な殺菌処理が施されていること（加熱、ろ過、UVなど）
また、粉ミルクの調乳には70℃以上のお湯が推奨されています。これはミルク粉末に含まれる可能性があるサカザキ菌などを死滅させるための安全対策です。ウォーターサーバーを選ぶ際にもこの基準を満たしているかどうかを確認しましょう。
他の水と比較してウォーターサーバーはどうなのか？
浄水ポット・ミネラルウォーターとの比較
赤ちゃんのミルク作りに使う水として、ウォーターサーバー以外に「浄水ポット」や「市販のミネラルウォーター」を検討する方も多いでしょう。それぞれにメリット・デメリットがあります。
浄水ポット（例：ブリタ）は水道水をろ過するため、安全性は高いものの、完全な除菌や成分除去はできないことがあります。また、カートリッジ交換や管理が必要です。
ミネラルウォーターは市販品の多くが硬水に分類され、赤ちゃんには不向きな場合もあります。ラベルの「硬度」や「赤ちゃんOK」などの表示を必ず確認しましょう。国産の軟水タイプ（例：いろはす、南アルプス天然水）であれば、比較的安心して使用できます。
水道水を沸騰させる方法との違い
水道水を一度沸騰させて冷ました「湯冷まし」も、ミルク作りに使える方法のひとつです。日本の水道水は軟水であり、安全性の高い選択肢とされています。ただし、以下のような注意点があります：
- 塩素やカルキの匂いが残る場合がある
- 沸騰後の冷却に時間がかかる
- 雑菌混入のリスクを避けるため、早めに使い切る必要がある
一方ウォーターサーバーは、すぐに70〜90℃のお湯が出るため、調乳の手間が大幅に省けます。さらに、メーカーによっては放射性物質や不純物のチェックを徹底しているところもあり、より安心して使用できます。
安全性と手間、コストのバランスで選ぶには
最終的にどの水を使うかは、「安全性」「手間」「コスト」の3つのバランスで判断するのがポイントです。以下のような比較ができます：
| 水の種類 | 安全性 | 手間 | コスト |
|---|---|---|---|
| ウォーターサーバー | 高（軟水選択で安心） | ◎（すぐ使える） | やや高（月3,000〜5,000円） |
| 水道水の湯冷まし | 中（日本の水質前提） | △（沸騰・冷却が必要） | ◎（ほぼ無料） |
| 浄水ポット | 中（ろ過性能により差） | ○（管理が必要） | ○（カートリッジ代） |
| ミネラルウォーター | 低〜中（硬水はNG） | ◎（そのまま使える） | ○（1本100〜200円） |
このように、忙しい育児中でも手軽に安全な水を使いたい方にはウォーターサーバーが非常に便利です。ただし、コスト面ではやや高めのため、予算やライフスタイルに合わせて選びましょう。
【まとめ】赤ちゃんのミルクに使う水は「安全性と成分」がカギ
赤ちゃんの体はとても繊細で、使う水ひとつで健康に大きく影響を及ぼすことがあります。ミルク作りにウォーターサーバーを使用することは、忙しい育児の中で時間と手間を大きく軽減してくれる非常に便利な選択肢です。
しかし、全てのウォーターサーバーが赤ちゃんにとって安全なわけではなく、「軟水」であるかどうか、不純物の含有量、温水の温度設定など、事前に確認すべきポイントがいくつもあります。
また、ミルク作りに適したウォーターサーバーは多数存在し、RO水や天然水（軟水）を採用し、調乳専用モードを搭載した機種もあります。安全性・利便性・コストのバランスを考慮して、ご家庭にとって最適な水の選び方を見つけることが大切です。
赤ちゃんの健やかな成長を支えるために、「どの水を使うか？」をしっかりと考え、安全・安心な育児ライフを送りましょう。
